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EVってどんなクルマ?PHEV・HV・FCVとの違いと特徴をカンタン比較!

EVの基礎知識・導入編

EVってどんなクルマ?PHEV・HV・FCVとの違いと特徴をカンタン比較!

2025年10月24日 更新

環境に配慮した次世代の選択肢として注目されているEV(電気自動車)。実は「電気で走るクルマ」と一口に言っても、EVのほかにPHEV、HV、FCVなど、いくつかのタイプがあります。

名前が似ていてわかりづらいかもしれませんが、それぞれ仕組みも特徴も異なります。自分のライフスタイルに合った一台を選ぶために、まずはこれらの違いを抑えておきましょう。

EVってひとつじゃない?「電動車」の種類を知ろう

「EV」とひとことで言っても、実はさまざまな種類があることをご存じですか?

バッテリーやモーターを使って走る“電動車”は、大気汚染や地球温暖化といった環境問題への対策として、今まさに普及が進んでいるジャンル。

しかし、EV・PHEV・HV・FCVといったアルファベットやカタカナの名前が並ぶと、違いが直感的にわかりにくいという声も少なくありません。

ポイントは、「どこからエネルギーを取り入れているか」。

EVは外部から電気を充電し、PHEVは電気とガソリンの両方、HVはガソリン主体、FCVは水素を使って発電しながら走行します。それぞれの特徴を知ることで、あなたのライフスタイルにフィットする一台がきっと見えてきます。

【EV(電気自動車)】
シンプルな構造と静かな走行が魅力。日常使いにぴったりの1台

EV(電気自動車)は、モーターのみで走行するもっとも構造がシンプルな電動車です。

エンジンを搭載していないため、吸排気系や燃料ポンプ、変速機などが不要で、部品点数が少なく故障リスクが低いというのが大きなメリットです。加えて、走行中の騒音がほとんどなく、スムーズで静かな乗り心地も魅力です。

ただし、航続距離(1回の充電で走れる距離)がバッテリー容量に依存する点は注意が必要です。

長距離ドライブに対応するには大容量のバッテリーを積む必要がありますが、バッテリーが大きくなれば車両価格も上がり、車体が重くなることで電費(電気の燃費)にも影響を与える可能性があります。

また、バッテリー容量を抑えて価格や重量をコンパクトにまとめたモデルでは、こまめな充電が必要になります。ガソリンのように数分で給油できるわけではなく、普通充電では満充電まで数時間以上かかるケースが一般的です。

とはいえ、夜間に自宅で充電できる環境があれば、このウィークポイントは大きな問題にはなりません。特に、通勤・通学・買い物など、1日の走行距離が比較的短い使い方であれば、就寝中に満充電しておけるため、翌朝からストレスなく走り出せます。

加えて、自宅に太陽光発電やV2H(Vehicle to Home)システムを導入していれば、EVを家庭用電源として活用することも可能。日常的な移動手段としてだけでなく、災害時の非常用電源としても役立ちます。

EVのポイントまとめ

  • エンジンがないため構造がシンプルで、故障リスクも低め
  • 騒音や振動が少なく、快適な乗り心地
  • 航続距離はバッテリー容量に比例し、大容量は高価かつ重量増に
  • 自宅充電と相性が良く、夜間に充電するライフスタイルに最適
  • 太陽光発電やV2Hと組み合わせれば、災害時の電源としても活用可能

【PHEV(プラグインハイブリッド車)】
EVの静かさとエンジンの安心感、両方ほしい人に

PHEV(プラグインハイブリッド車)は、EV(電気自動車)とガソリン車の“いいとこ取り”をしたような存在です。バッテリーとモーターに加えて、エンジンも搭載されており、電気とガソリンの両方を使って走行できます。

基本的には、短距離であればモーターのみで静かに走行できるため、EVのような快適な乗り心地が楽しめます。特に通勤や街乗りなど、日々の移動距離が限られている場合は、ガソリンを使わず“ほぼEV”として運用することも可能です。

一方で、バッテリーが切れたあとはエンジンに自動で切り替わるため、航続距離の不安がなく、長距離ドライブや旅行でも安心。高速道路の長時間移動や急な遠出にも柔軟に対応できます。これが、PHEV最大の魅力ともいえる「拡張性のある走行スタイル」です。

ただし、EVと比べると車両価格が高めになりがちで、バッテリーに加えてエンジンとその関連機構も搭載しているため、構造はやや複雑です。また、自宅充電環境がないと、せっかくのモーター走行が十分に活かせず、ガソリン車に近い使い方になってしまう点には注意が必要です。

PHEVのポイントまとめ

  • モーター走行とエンジン走行を切り替えて使える“ハイブリッドの進化形”
  • 近距離はEVのように静か&経済的、遠出はエンジンで安心
  • バッテリー+エンジンの構成で、構造は複雑・価格はやや高め
  • 自宅に充電設備があると、EV寄りの使い方ができて経済的
  • 長距離・短距離のどちらにも対応できる万能型

【HV(ハイブリッド車)】
燃費性能に優れた、扱いやすさ重視の電動車

HV(ハイブリッド車)は、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を使って走るクルマです。電気のみで走ることはできませんが、モーターがエンジンをサポートすることで燃費を大幅に向上させているのが特徴です。

たとえば、発進時や低速走行ではモーターが主体で走行し、エンジンはその後に必要に応じて作動。減速時やブレーキを踏んだ際には回生ブレーキによって電気を発電・回収することで、バッテリーに再利用されます。

外部充電が不要で、ガソリンを給油すればすぐに走れる手軽さは、HVならでは。特別なインフラも準備もいらないため、電動車の入門編としても人気が高く、国内でも長く普及しているスタンダードな存在です。

ただし、モーター走行だけでの長距離移動はできず、走行の主力はあくまでエンジン。そのため、「静かさ」や「排出ガスゼロ」といったEVの特性とは異なり、燃費の良いガソリン車という位置づけに近くなります。

HVのポイントまとめ

  • エンジン+モーターで走行し、燃費向上とエネルギー効率化を実現
  • 外部からの充電は不要で、ガソリンを入れるだけですぐに使える
  • 電動車のなかでも導入ハードルが低く、実用性が高い
  • モーターのみでの走行距離は限られ、排出ガスも発生する
  • 通勤や買い物など、日常使いでの燃費重視派におすすめ

【FCV(水素燃料電池車)】
水素で発電して走る、次世代のゼロエミッション車

FCV(Fuel Cell Vehicle)は、水素を燃料とし、車載の燃料電池で発電してモーターを動かす電動車です。排出されるのは水蒸気のみで、CO₂を一切出さないため、環境負荷の非常に低い「ゼロエミッション車」として注目されています。

車の中に水素タンクと燃料電池ユニットを搭載しており、走行中に自ら発電して電気をつくり、モーターを駆動。EVと同様に静かでスムーズな加速が可能ですが、EVと違って外部電源からの充電は不要です。

また、水素の充填はガソリンと同様に数分で完了するため、EVのような長時間の充電待ちはありません。航続距離もおおむね600km前後と長く、長距離ドライブにも適しています

一方で、水素ステーションの数が全国でも限られており、インフラの整備状況に使用のしやすさが左右されるのが現状です。また、水素の取り扱いには高い安全性と技術が求められるため、車両価格や供給体制が整うにはまだ時間がかかるといわれています。

参考:充電スポット/水素ステーション | クリーンエネルギー自動車AtoZ

FCVのポイントまとめ

  • 水素を使って自ら発電し、モーターで走る「究極のエコカー」
  • 排出されるのは水蒸気だけで、環境負荷が非常に少ない
  • 充電不要で、水素を入れるだけ。充填時間は約3分
  • 航続距離が長く、EVよりも長距離走行に向いている
  • 水素ステーションの整備がまだ進んでおらず、地域差あり

どのタイプがあなたにフィットする?――ライフスタイルから考えるクルマ選び

EV・PHEV・HV・FCV。一口に「電動車」といっても、それぞれに仕組みや特徴、得意な使い方が異なります。

たとえば、通勤や買い物など、日々の移動が短距離中心の方には、自宅で充電できて維持コストも抑えられるEVが好相性。

遠出や旅行が多い方には、給油や充電の選択肢が広がるPHEVや、走行可能距離の長いFCVが選択肢になります。

燃費と価格のバランスを重視する方には、インフラを気にせず使えるHVも堅実な選択肢といえるでしょう。

どの車にもメリット・デメリットがありますが、大切なのは「何を優先するか」という視点。

燃費や充電方法、走行距離、コスト、エコ性能――自分のライフスタイルと価値観に合った1台を選ぶことが、カーライフをもっと快適にしてくれます。

未来の選択肢を、あなたらしくスマートに選びましょう。