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火力発電の仕組みをかんたん解説! そのメリット、デメリットをわかりやすく紹介 ー EVを活用して火力発電を減らすには?

再エネ・発電の仕組み

火力発電の仕組みをかんたん解説! そのメリット、デメリットをわかりやすく紹介 ー EVを活用して火力発電を減らすには?

2025年11月21日 更新

皆さんの身の回りにいつもあたりまえにある電気ですが、その発電方法にはさまざまなものがあります。中でも、火力発電は世界中で最も一般的に使用されている発電方法です。

私たちの日常生活に欠かせない電力の多くは、火力発電によって供給されています。火力発電は石炭、天然ガス、石油などの化石燃料を燃焼させ、その熱エネルギーを利用して電気をつくる方法です。

今回は、火力発電の具体的な仕組み、そしてメリットとデメリットについて分かりやすく解説していきます。

火力発電がどのようにして電気を生み出し、私たちの生活を支えているのかを理解することで、火力発電の利便性と、同時に昨今重要視されている脱炭素社会の実現、再生可能エネルギーの普及などの理解も深めていくことができます。

火力発電の仕組み

火力発電の基本的な仕組みは、石油・石炭や液化天然ガス(LNG)を燃焼させて水を蒸気に変え、その高温高圧の蒸気でタービンを回して電気を作るというものです。

タービンを回すために使った蒸気は復水器という装置で再び水に戻されることで、もう一度燃焼され蒸気になりタービンを回すという構造になっています。

火力発電の種類と方法

火力発電にはいくつかの方式があります。主に使われているのは以下の3つになります。

  • 汽力発電:石油や石炭などの熱源を利用し、ボイラー内で高温・高圧の蒸気を生成してタービンを回す方法です。現在最も一般的に利用されています。
  • ガスタービン発電:灯油や天然ガスなどを燃やして得られる燃焼ガスを使ってタービンを回す方法です。小型の機械でも高い出力が得られるのが特徴です。
  • コンバインドサイクル発電:「汽力発電」と「ガスタービン発電」を組み合わせた方法です。燃焼ガスの膨張力でタービンを回す方法と、排ガスの熱を回収して蒸気タービンを回す方法を組み合わせることで、効率的な発電が可能です。

火力発電は日本の発電電力量の70%以上を占めている

日本では1973年の第一次石油危機をきっかけとして、電源の多様化が進んできました。水力や風力、太陽光などの再生可能エネルギーの普及に、原子力発電の安全な運営を進め、火力発電に依存しない発電体制を整えようとしています。

しかし、経済産業省 資源エネルギー庁がまとめている2022年の電源構成をみると、火力発電は全体の72.6%を占めており、依然として日本の発電は火力発電に大きく依存していることがわかります。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁 エネルギー基本計画の概要 令和7年2月

火力発電のメリット

火力発電にはいくつかの重要なメリットがあります。

安定した電力供給と柔軟さ

火力発電の最大のメリットは、安定した電力供給が可能であることです。風力や太陽光などの再生可能エネルギーは、発電量が天候や季節に左右されるため、供給が不安定になることがあります。

しかし、火力発電は燃料を供給することでいつでも電気をつくれるため、安定した電力供給が可能なのです。この特性から、電気の需要が大きく変動した場合にも柔軟に対応できます。

たくさんの家庭やビルで急に電気の需要が増えた場合は対応する量の燃料を投下し、逆に需要が少なければ投下する燃料を減らすことで調整ができるため、風の強さや日照時間などに左右されてしまい、発電量の調整が難しい再生可能エネルギーと比較して、その電力供給の柔軟な対応力はメリットとなります。

発電コストの低さ

火力発電は、他の多くの発電方法に比べて建設コストと運転コストが低いです。水力発電所や原子力発電所などに比べて、比較的小規模な設備でも発電が可能です。

水力や風力などは河川やダム、広い場所の必要性があり、原子力発電所は広い土地に加えて周囲の理解を得るなどのハードルがあります。それに対し、火力発電所はある程度小さな土地であっても建設が可能です。

火力発電のデメリット

火力発電は安定した電力供給を実現できる発電方法ですが、、いっぽうでデメリットも抱えています。火力発電のデメリットは、環境問題や持続可能性の観点から重要な課題とされています。

二酸化炭素(CO2)の排出による環境への影響

火力発電は、燃料の燃焼によって二酸化炭素(CO2)を大量に排出します。

CO2は温室効果ガスであり、地球温暖化の主要な原因となっています。さらに、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの大気汚染物質も排出され、酸性雨や健康被害の原因となります。

火力発電では、使用する燃料の量は同じでもできるだけ多くの電気を作れるよう、発電効率を改善していくことが求められます。

将来はなくなってしまう資源

火力発電に使用される化石燃料(石炭、天然ガス、石油)は有限の資源です。

これらの燃料は、採掘が進むにつれて徐々に枯渇する可能性があり、長期的なエネルギー供給に不安をもたらします。また、燃料価格の変動により、発電コストが不安定になることもあります。

火力発電のデメリットは、環境問題や持続可能性の観点から重要な課題として認識されています。これらの課題を解決するためには、技術革新や政策の導入が不可欠です。

火力発電のこれから

火力発電は依然として世界のエネルギー供給において重要な役割を果たしていますが、環境問題や持続可能性の観点から、今後の方向性は大きな変革が求められています。火力発電のこれからについて確認していきましょう。

クリーンコール技術とカーボンキャプチャー

火力発電の環境負荷を軽減するために、クリーン・コール・テクノロジー(CCT)やカーボンキャプチャー・アンド・ストレージ(CCS)技術の導入が進められています。

クリーン・コール・テクノロジーは石炭を燃やしたときに発生するCO2や有害物質を様々な方法で取り除き、地球環境を守る技術になります。例えば個体の石炭から硫黄分などを除去し、液体か気体に転換させることで石炭をクリーンに使うことができます。

またカーボンキャプチャー・アンド・ストレージは、発電所や化学工場から排出されたCO2を他の気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入する方法です。

ハイブリッド発電システム

火力発電と再生可能エネルギーを組み合わせたハイブリッド発電システムも注目されています。

例えば、太陽光発電や風力発電の変動を火力発電で補完することで、安定した電力供給を実現するシステムです。

これにより、再生可能エネルギーの導入拡大を支援しつつ、火力発電の安定供給能力を維持することができます。

エネルギーミックスの見直し

第7次エネルギー基本計画において、2040年度時点で火力発電の比率を3~4割程度まで削減させることが掲げられています。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁 エネルギー基本計画の概要 令和7年2月

火力発電はこれらの実現に深くかかわっており、火力発電の比率の引き下げ、また再生可能エネルギーの変動を補う立場としての調整力・供給力として期待されています。

私たちが目指すべき未来は、再生可能エネルギーを主軸とし、火力発電がその安定供給を支えるという共存の形です。このためには、技術開発やエネルギー政策の継続的な見直しが不可欠です。

EVの使い方が火力発電からの脱却を後押しできる!

また、私たち一人一人がエネルギーの利用方法を見直し、持続可能な社会の実現に向けて取り組むことも重要です。

電気自動車(EV)は「走るクルマ」であると同時に、「動く蓄電池」としての一面も持っています。うまく活用すれば、火力発電に頼りがちな電力の使い方を減らすことができます。ここでは、その仕組みを分かりやすく紹介します。

昼間充電で太陽光発電を活用

太陽光発電は、日中にたくさん発電し、夜になると発電が止まります。 ところが実際には、昼間の電力需要が少ないと「せっかく発電した電気を使いきれない」こともあります。

そこで役立つのが、EVの昼間充電です。 太陽光発電の多い時間帯にEVを充電すれば、余っていた再生可能エネルギーを有効に使えます。 これにより、発電量が足りない夜間に火力発電でまかなう必要を減らせるのです。

EVeeではこうした太陽光発電をうまく生かしながら、お昼充電で電気代がおトクになるデイタイムバリュープラン昼ワッ得プランを提供しています。

夜は放電して火力発電を減らす(V2H/V2G)

EVにたまった電気は、ただ走るためだけのものではありません。 家庭用の機器や住宅に電気を「戻す」こともできます。これをV2H(Vehicle to Home)といいます。

たとえば、昼間に太陽光発電を使ってEVに充電しておき、夜にその電気を家庭で使えば、夜間に火力発電で作られた電気を使う量を減らせます。 また、家庭だけでなく地域や電力系統全体に電気を供給する仕組みV2G:Vehicle to Gridも今後の注目ポイントです。

EVを「蓄電池」として活用することで、

  • 夜間に火力発電を減らせる
  • 再生可能エネルギーを無駄なく使える
  • 停電時には非常用電源にもなる

といった多くのメリットが得られます。

つまり、EVは単なる移動手段ではなく、「再エネ時代のエネルギーマネジメント」に欠かせない存在になりつつあるのです。

火力発電と再生可能エネルギーの共存によって、環境に優しく、安定したエネルギー供給を実現する未来を目指していきましょう。