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EVの基礎知識・導入編
EV(電気自動車)のデメリットは本当に大きい?よくある不安を現実ベースで解説
2026年1月16日 更新
電気自動車(EV)は「環境にやさしい」「静かで快適」「維持費が安い」など、ここ数年とてもポジティブな話題が増えました。
街で見かける機会も多くなり、「次に買う車はEVでもいいかも?」 と気になっている人も多いはずです。
でも、いざ調べ始めると——
- 「価格が高いって聞くけど本当?」
- 「充電って不便じゃない?」
- 「バッテリーが劣化するって怖い…」
など、不安な声もいろいろ出てきます。
実は、EVには“良いところ”がたくさんある一方で、よく指摘されるデメリットもきちんと存在します。そして、これらのデメリットを曖昧なままにしていると、買った後に「思ってたのと違う…」となってしまうことも。
そこでこのコラムでは、 電気自動車(EV)のデメリットに真正面から向き合い、代表的なデメリットをわかりやすく解説します。
ただ、安心してください。 デメリットを挙げて終わりではありません。
- 実際のところ、そのデメリットはどれくらい不便なのか
- どうやって乗り越えられるのか
- 技術の進化や制度で改善されている部分は?
こうした「現実的な対処法」も合わせて紹介し、 EV を前向きに検討できるようになりましょう。
EVによくあげられるデメリット

EVについて調べると、さまざまなメリットが紹介される一方で、世間では次のような“気になるポイント”がよく挙げられます。
- 車両価格が高い
- 車種が少ない
- 航続距離が短い(すぐ電欠するのでは?という不安)
- 充電に時間がかかる
- 充電スポットがまだ少ない
- バッテリーが劣化する
- リセールバリュー(売却価格)が低い
- 車両火災が心配
- タイヤが摩耗しやすい
車両価格が高い
電気自動車はガソリン車に比べて車両価格が高めです。
大きな理由は、高価なバッテリーを搭載しているため。補助金が出るとはいえ、購入時の負担はやはり大きく、気軽に「ちょっと買い替えるか」といきづらいのが現状です。
例えば同じ軽自動車クラスで見てみますと、日産のサクラは約260万円のところ、ルークスは約167万円となっており、その車両価格の差は100万円ほどあります。
参考:日産:サクラ [ SAKURA ] 軽自動車 Webカタログ トップ、日産:ルークス [ ROOX ] 軽自動車 TOP
車種が少ない
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選べる車種がまだまだ少なく、自分の好みやライフスタイルに合うモデルが見つかりにくいのが難点です。
特に軽自動車・ミニバン・SUVなど、需要が高いカテゴリーでの選択肢が限られているケースが多く、「欲しい形のEVがない」という人も少なくありません。
新車販売台数ベースではEVの比率は低く、数%台にとどまり、多くはガソリン車やハイブリッド車が占めています。
ただし、2010年代前半の「ごく一部のメーカーの数車種だけ」という状況から比べると、メーカー数・車種数ともに大きく増え、同じクラス内でEVとガソリン車を選べるケースは着実に増えています。
参考:Japan's Automotive Electrification Trends (2025 H1) - JATO
航続距離が短い
航続距離は改善されてきていますが、ガソリン車と比べると依然として1回の充電で走れる距離が短いです。
特に冬は暖房使用の影響で電費が落ちやすく、カタログ値よりも実走行距離が短くなるケースが多いのも気になるポイントです。
参考:EVが雪国や寒冷地に弱いのか、詳しくはこちらのコラムで解説していますのでご参考ください。
充電に時間がかかる
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電気自動車は満充電までに時間がかかるため、「すぐ出発したい!」というときに待ち時間が発生します。
急速充電でも30〜60分ほど必要な場合が多く、「給油数分で終わる」というガソリン車の手軽さには敵いません。
充電スポットが少ない
街中での充電スポットは増えてきているものの、まだまだ地域差が大きく、必要な場所に充電器がないというケースも多いです。
休日は充電待ちが発生したり、出先で充電器が故障していたりして、「充電計画」が欠かせないのもデメリットのひとつです。
参考:EV充電スポット(スタンド)とは何か、その利用方法や探し方についてはこちらをご覧ください。
バッテリーが劣化する
スマホと同じように、EVのバッテリーも年数とともに徐々に劣化します。 走行距離が減ったり、急速充電のスピードが落ちたりと、使い続けるほど性能の低下を感じ始める可能性があります。
リセールバリューが低い
電気自動車は中古車市場でリセールバリュー(売却時の価値)が低めになりやすいと言われています。
理由のひとつはバッテリー劣化の懸念。年数が経つほど価値が下がりやすい傾向があります。
車両火災が心配
バッテリーを搭載している特性上、火災に対する不安を持つ人も多いです。 ニュースで目にすることもあるため、心理的に「もしものとき大丈夫かな?」と心配に感じる声は根強くあります。
タイヤが摩耗しやすい
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EVはバッテリーの重さで車両重量が重く、加速力も高いため、タイヤが早く摩耗しやすい傾向があります
交換サイクルがガソリン車より短くなる可能性があり、維持費が増える点は意外と見落とされがちなデメリットです。
EV(電気自動車)のデメリットをどう乗り越える?
EVはこうしてみますとデメリットが多く、かなりハードルが高いように思えますが、誤解があったりうまく工夫することでデメリットを解消して乗り越えていくこともできます。
ここからはその方法を見ていきましょう。
車両価格の高さは補助金でカバー
EV購入時には国や自治体による補助金制度を活用しましょう。
国の補助金制度では、車種や性能、メーカーの取り組み状況などに応じて補助額が設定されており、2024年度時点では軽EVで数十万円規模、登録車EVではさらに高額な補助を受けられる場合があります。
加えて、自治体独自の補助金が上乗せされるケースもあり、地域によっては負担軽減効果が一段と大きくなります。
国と自治体の補助金を併用することで、実質的な購入負担が大幅に下がることがあります。補助金の適用条件や金額は地域ごとに異なりますが、「EVは高い」という印象が必ずしも実態を正確に表しているとは言い切れません。
EVはランニングコストが低い点も注目
さらに、EVは購入後の維持費にもメリットがあります。
税制優遇措置により取得時や車検時の税負担が軽減されるほか、電気を使った走行は燃料費を抑えやすく、エンジンを持たない構造からメンテナンス費用も比較的低く抑えられる傾向があります。
ガソリン料金よりも、充電にかかる電気料金の方がかなりお安くできる点も、EV購入後のランニングコストでかなり初期費用を回収できる支えとなります。
こうした購入時の補助金と、保有期間全体でのコストを総合的に考えると、EVの価格差は想像以上に縮まるケースも多く、車両価格の高さだけでEVを敬遠する必要はないと言えるでしょう。
参考:EVのランニングコスト、ガソリン車との比較についてはこちらで詳しくご紹介していますので参考にしてみましょう。
航続距離は日常使いでは大きな問題になりにくい
EVの航続距離について不安を感じる人もいますが、日常の使い方を考えると過度に心配する必要はありません。軽EVの場合、満充電で100km台後半走れるモデルが多く、数値だけ見ると短く感じるかもしれません。
しかし、重要なのは必要なだけ走るのに足りるか。という観点です。
国際航業株式会社が運営するエネがえるが国土交通省のデータを分析したところ、市内や近所での利用が中心の場合、年間走行距離はおよそ3,000km程度とされており、1日あたりに換算すると約8kmにすぎません。
日常利用にドライブが加わるケースでも、1日の走行距離は20km前後です。
通勤・通学が主な用途であっても、1日あたりの走行距離は30km台に収まることが多く、通勤に加えて頻繁にドライブをする場合でも、平均すると約48km程度です。毎日のように長距離を走る使い方は、実際には限られています。
参考:エネがえる 自動車の年間走行距離と平日・休日比率の分析まとめ
こうした実態を踏まえると、EVの航続距離がエンジン車より短いのは事実としても、日常的な利用において支障になるケースは多くありません。
一般的なEVの走行可能距離は、普段の移動を十分にカバーできる水準にあり、「航続距離の短さ」が実生活で大きな問題になることは考えにくいといえるでしょう。
充電は「少し足す」使い方で十分
EVの充電は時間がかかるという印象がありますが、実際には使い方次第で待ち時間を抑えられます。
日常利用の多くは自宅での普通充電でまかなえるため、就寝中に基礎的な充電をしておけば、充電を待つという感覚自体がほとんどありません。
外出先で急速充電を利用する場合も、毎回30分かけて満充電にする必要はなく、走行に必要な分を少しだけ足すイメージで十分です。
この使い方であれば、数分程度の急速充電で次の移動をカバーできることも多く、長時間待たされる場面は限られます。
このように、EVの充電は計画的に使い分けることで、実生活では大きな負担になりにくいといえるでしょう。
EVは火災が心配?実際のリスクは高くない

EVは火災が心配という声を聞くことがありますが、実際には特別に発火しやすい車というわけではありません。
EVに使われているリチウムイオン電池は、スマートフォンや家電製品などにも広く使われている技術で、厳しい安全基準のもとで設計・保護されています。
たしかに、重大な事故や製造不良などによりバッテリーが損傷した場合、発熱や発火に至る可能性はゼロではありません。
ただし、こうしたリスクはEVに限らず、PHEVやHEV、エンジン車でも同様に存在します。EVは異常を検知すると電流を遮断する仕組みを備えており、通常の使用環境では火災リスクは低いとされています。
一方で、EV火災は万が一発生すると鎮火に時間がかかるという特徴があります。
リチウムイオン電池は高温状態が続きやすく、再燃を防ぐために大量の水で冷却する必要があるためです。
この点が報道で目立ち、「危険」という印象につながりやすい側面があります。
重要なのは、「消火が難しい」ことと「発火しやすい」ことは別という点です。EVは構造的に火災が起きにくく設計されており、日常利用において過度に心配する必要はないといえるでしょう。
参考:EVと車両火災リスクについては統計データなどをもとにこちらで詳しくご紹介していますのでチェックしてみてください。
EVは「使い方」を知るほど現実的な選択肢になる
EVをエンジン車と同じ感覚で捉えると、不安やデメリットが目につきやすいのは確かです。
しかし、充電の考え方や走行距離の実態、維持コストなどを整理してみると、それらの多くは使い方の違いによって生じる印象の差であることが分かります。
EVはまだ発展途上の技術ではありますが、カーボンニュートラルを背景に普及が進む流れは明確で、今後は車両価格の低下や充電インフラの整備も着実に進んでいくでしょう。
エネルギー価格の動向次第では、ランニングコストの面でEVがより有利になる場面も増えていくと考えられます。
デメリットだけに目を向けるのではなく、自分の利用シーンに合っているかという視点で冷静に判断することが大切です。
EVは、条件が合えばすでに十分現実的な選択肢であり、今後の進化を見据えながら、納得できるタイミングで検討していく価値のあるクルマといえるでしょう。



